ある程度大きい会社に勤める会社員には”転勤”を伴った異動が当たり前だと思います。
転勤というのはメリットもデメリットもある制度になります。
しかし、最近、転勤という制度について色々と考えさせることがあったので、記事にしました。
この記事を読めば、転勤って実際どうなの?という部分がわかります。
特に、子育て中の方、転勤や会社に疑問を持っている方には、最後まで読んで頂けると嬉しいです。
転勤とは?
転勤というのは、高度成長期(1950年代~1970年代)にかけて定着した制度です。
当時は、「新卒一括採用」「終身雇用」「年功序列」という3つの柱とセットで運用されており、
社員を長期的に雇用する前提で、企業が組織全体を最適に動かすための手段として整備されました。
実際、高度成長期を促した要因の一つとして考えると、一面として切り取るととても優れた制度なのでしょう。
しかし、近年のワークライフバランスや多様な働き方を考慮すると、そのまま運用してよいのかはやや疑問を呈します。
私は、転勤を4回経験しています。
13年の内で4回ですから、それなりの数です。
その都度、異なる県に赴き、その地で生計を立て、仕事に励んできました。
独身の頃は、転勤に対してほとんど抵抗はありませんでした。
初めての地で生活することは、その地を知り、その地の仕事に馴染み、自身の見識を広げ、人脈を形成することに繋がります。
多くのことを経験するのに非常に良い制度だと思います。
特に、旅や人付き合いが得意ではなく受動的な方にとっては、転勤くらいの強制力がないと、自身の慣れ親しんだ環境から見識を広げるのは難しい一面もあるでしょう。
インターネットやSNSで情報は多く知れても、その地や自分の肌でしか経験出来ないことは山ほどあると思います。
転勤に対する意識が変わったのは、結婚してからです。
さらにいうと、子供が産まれてから、さらに意識が変わっていきました。
結婚してから変わった転勤に対する意識
2018年に結婚した際に、妻は正社員を辞めて引越し、一緒に住むことにしました。
妻の勤務地と私の勤務地を考えると、どちらか一方が仕事を辞めないと、一緒に生活できなかったためです。
当時、妻は仕事を辞めることに対し快く承諾してくれましたが、人によってはそう簡単には辞められないでしょう。
キャリアや将来のことを考えると、退職という選択肢を取れない人もたくさんいるはずです。
その後、私が転勤するたびに妻はついてきてくれ、その度に仕事を辞めています。
毎回、慣れた仕事を辞めて、新しく仕事を始めるのは大変だと思います。
また、仲良くなった友人と離れなければならず、寂しい思いをたくさんさせています。
これらを経験して、私の転勤に対する意識は確実に変化しました。
まさに妻に多くの苦労を掛けるとともに、妻のキャリアや将来性、友人との関係性などを、リセットすることになるからです。
ずっとついてきてくれている妻には感謝しかありません。
子供が生まれて変わった転勤に対する意識
2021年に第一子が誕生し、2026年6月に第二子が誕生予定です。
やはり、子供が生まれると転勤に対する意識は確実に変わります。
私の周囲でも子供を考えると転勤は嫌だ、、でも仕方ない、と言っている方はたくさんいます。
子供がいると何故転勤に対する意識が変わるか?
子供がいると、ただでさえ生活のリズムを保つことが困難です。
子供は大人の思うような行動をとることは少なく、本人の思うがままに行動し、忙しいときにぐずり始めると本当に大変です。(それはそれで可愛いのですが、笑)
そこに「転勤」=「環境の激変」が加われば、家族への負荷は指数関数的に増大します。
特に、子供成長にとって「安定したコミュニティ」は不可欠だと思います。
転勤は、子供が馴染んだ保育園や幼稚園、小学校で築いたネットワークを強制的に断ち切る行為です。
実際、私の息子も仲の良い友達と離れ離れになる際に泣き、新しい家や幼稚園に一定の抵抗を示しました。
引越しした後に、「前のおうちに帰りたい、、」「お友達と遊びたい、、」と言われたときは、心が締め付けられました。
また、強制的に住む家や環境、友人関係が変化するのは、小さい子供にとっては相当なストレスなのでしょう。
息子が体調不良を訴えることが非常に多くなりました。
人生設計が立てにくいという現実
マイホームの購入というのを「人生の一つの夢」と考えている方も多いと思います。
マイホームに家族で住むことを描いている方にとって、転勤というのは非常に合っていない制度だと思います。
何故なら、転勤がある以上、家族の定住地を決められないからです。(当たり前ですね)
数か月先さえ見通せない中で、マイホームを購入するとどうなるか、、単身赴任になった方をたくさん見てきました。
家族と離れ、月に1回程度家族に会いに行く、という方もたくさんいます。
子供とたくさん過ごせるのは10~15年くらいだと思います。
中学生や高校生くらいになると、親と一緒に出掛けたり、一緒に遊ぶことは激減すると思います。
その大切な時間を、単身赴任で切り離されるのは、私はもったいないと思います。
仕事は、やり方次第で30~40年も出来るものです。
しかし、子育ては10~15年です。
どちらを大切にするべきか、、私にとって間違いなく後者になります。
このように、転勤は人生設計を立てる上で大きな弊害となるのです。
周囲でも転勤のためにライフプランを考えられない/考えることを辞めた、と言う方は多いです。
さて、ここからがさらに私個人的に感じた話になります。
妊娠の折に、突き付けられた転勤
私は転勤4回と冒頭で記載しましたが、実は直近2回の転勤は、いずれも妻が妊娠8か月という繊細な時期に転勤を命じられています。
(第一子、第二子ともに6月生まれで、4月異動になります)
第一子のときは、妻も元気でしたし、大きな問題はありませんでした。
ただ、第二子のときは、状況が異なりました。
第二子の際は、妻の体調が悪く(後期になってもつわりが続いており、体重が減る一方でした)、子供もいたので、そもそも状況として大変な状況でした。
また、会社側には転勤が決まる前から、家庭の状況により休暇を取ることが多かったり、残業が難しい旨を伝えていましたし、育児休業を一年間取得する旨を伝えていました。
そのような状況で転勤が言い渡されたのです。
私の状況は、会社という組織の大きな歯車の中では、考慮に値しないものと扱われたということです。
会社側が掲げる「育休推進」という看板を目の前にして、実際の現場では「転勤による強制リセット」ということが行われる。
この矛盾を目の当たりにしたとき、私は会社という組織が個人を守るという前提が、もはや幻想であると悟りました。
会社組織を考えると致し方ない部分もあると思いますが、個人的には冷徹な事実だったと感じています。
また、体調がよくない中での転勤だったため、引越しの準備、長距離移動、新居でのスタートなどの疲労やストレスが重なり、妻は切迫早産となり、入院となりました。
これが個人的に最も転勤に対する意識を変えた出来事でした。
切迫早産は「命」に係わる出来事です。
私は自問しました。「仕事」と「家族の命」、どちらが大切なのか
問いへの答えは、火を見るよりも明らかです。
会社の辞令ひとつで、家族の命に係わる出来事に発展している。
こちらは事前に会社側に通達していたにもかかわらず、それが考慮されなかった結果。
その状況があり、転勤という制度、ひいては会社そのものに疑問が湧いてきたのです。
会社に人生を委ねるのか、自分の人生を生きるのか
これまでの私は、仕事にプライドを持ち、トップで会社に尽くしてきました。
しかし、これらの一連の経験を経て、考え方が変わりました。
結婚当初から転勤という制度は世の中にそぐわないと感じながらもそれを受け入れていましたが、直近の「命」に係わる出来事を通じて、転勤ひいては会社というものに疑問が出てきました。
会社という大きな歯車の中では、家族の命さえも「調達可能なコスト」の一つとして扱われる現実がある。
会社に人生を委ねるということは、自分の人生の主導権を誰かに渡すことです。
転勤という制度を受け入れるのか、それとも自分の人生を優先させるために、会社とは別の軸を持つのか。
私は会社に尽くすことを否定はしません。
私自身会社に尽くしてきましたし、家族がいてもなお、会社に尽くす素晴らしい方をたくさん知っています。
しかし、会社という枠組みに依存しすぎて、人生の軸を見失うことに強い危機感を覚えます。
家族を守れるのは会社ではありません。自分自身です。
私は自分の人生の軸ー自らのスキルで立ち、家族との時間を守り抜く、そんな生き方をしたい、そのように考えています。
もし、同じような葛藤の中にいる方がいたら、立ち止まって、一緒に乗り越えましょう。


