みなさんは「男性の育休取得」に関して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
立場や性別、築いてきたキャリア、あるいは職場の雰囲気など、見る角度によって様々な意見が飛び交うのが、この「育休」という制度だと思います。
実際、日本の男性育休取得率は先進国の中でもまだまだ低く、私の周囲でも「職場の理解が得られない」「出世やキャリアへの悪影響が怖くて取れない」という声もよく耳にします。
そんな中、私は6月初旬から9月末まで、約4か月の育児休業を取得することにしました。
正直にお話しすると、私が勤める会社は昔ながらの古い価値観も残っており、「これまでの社内のキャリア」を考えれば、決して好ましい選択とは言えません。
それでもなお、私は「あえて」育休の取得を選択しました。
この記事では、出世や評価への影響というリスクを背負ってでも、私がなぜ4か月仕事から離れる決断をしたのか。
単なる家事育児の分担という表面的な理由だけではない、私なりの「これからの人生の軸」に関する考え方をお伝えします。
第二子誕生
2026年5月29日、我が家に第二子となる長女が無事に誕生しました。
転勤、切迫早産、入院、多くのことを乗り越えて、予定より2週間近い急な出産ではありましたが、母子ともに健康で、新しい家族を迎えられた安堵感と喜びは、筆舌に尽くしがたいです。
転勤の際に感じたことはこちらの記事でも紹介しています。
仕事と育児の両立に対する葛藤は、こちらの記事をご覧ください。
異動直後のリーダー就任|4か月の育休を取得するまで
春の転勤で新天地に異動し、私はプロジェクトリーダーという立場を任せられました。
研究開発部門のチームを率いるだけでなく、本社、営業所、顧客と接点を持ち、プロジェクトを進めなければなりません。
そのような立場に就いたばかりの私が、なぜこのタイミングで育休を取得することが出来たのか。
実は、異動の内示が出た直後、新しい所属長と事業所の本部長に直接電話で挨拶をしました。
その際に、「赴任すぐに第二子が生まれる予定であること」をあらかじめ伝えておいたのです。
この「事前の情報共有」のおかげで、その後の育休の相談がスムーズに進みました。
会社側も私の育休取得を考慮した体制作りに動いてくださり、プロジェクトの都合上「1年間」という当初の希望は叶いませんでしたが、所属長と協議を重ねた結果「4か月程度」という現実的な期間に着地することができました。
早めの相談と、お互いの歩み寄りが功を奏した形です。
異動直後というハードルはありましたが、それでも私が今、あえて仕事から離れて育休を取得するには、大きく分けて2つの理由があります。
理由①:子供と共有する「10年」は、一生続く仕事よりも尊いから
1つ目の理由は、シンプルに「仕事より家庭を大切にしたい」からです。
仕事は、関わり方や働き方次第で、この先何十年も続けることができます。
しかし、育児、つまり「親が子供と密接に接する時間」は、せいぜい10~15年程度しかありません。
中学生にもなれば、自分の世界を持ち、親と共有する時間はどんどん減っていくでしょう。
特に、乳児や幼児の時期は、数週間、数か月という信じられないスピードで大きく成長していきます。
昨日できなかったことが今日できるようになる、そんな奇跡のような成長の過程を共有しない人生は、私には考えられませんでした。
家族と時間を共有し、その一瞬一瞬を大切にすること。
それが、私にとって何にも代えがたい「生き方」です。
「仕事」と「家庭」、どちらの優先順位が高いかと考えたとき、その答えは私にとって自明の理でした。
理由②:会社と距離を置き、客観的に「自分の人生」を見つめ直すため
そして、2つ目の理由。
これが、私にとって非常に重要な裏のテーマでもあります。
それは、「自分自身の人生を見つめ直すための時間」が必要だったということです。
今まで会社に尽くし全力で走ってきた私が、第一子の誕生後に家庭を優先するために、必然的に仕事へ割ける時間が減りました。
その結果、それまで高かった私の社内評価は下がりました。
その時に感じた名状しがたい「違和感」は今でも覚えています。
さらに、育休を打診していたにも関わらず下された「転勤」という会社からの辞令。
この一連の出来事を通して、私は「会社の軸」と「自分の軸」が決定的にズレていることに気が付きました。
自分にとって会社とは何なのか。
会社で働き、貢献し、給与をもらう人生が「当たり前」だと思っていたのに、そのシステムに対して強烈な違和感を覚えたとき、一度立ち止まってみたいと感じたのです。
育休を取得して家庭に専念することは、物理的にも精神的にも「仕事と距離を置く」ことを意味します。
日々回し続けてきた会社の歯車から一歩引いて、冷静に自身の人生を顧みる。
この4か月のモラトリアム(猶予期間)は、私の将来にとって絶対に不可欠な時間になると確信しています。
収入減の不安を消し去った「制度の知識」と「資産形成」
ちなみに、育休取得にあたって多くの人が直面する「金銭的な不安」ですが、私の場合、これについては全く悩みがありませんでした。
これまで労働組合の活動に関わってきたおかげで、育児休業給付金などの制度に比較的詳しかったことが大きいです。
確かに手取りの収入は減りますが、給付金が入ることに加え、日ごろから「贅沢をしなければ十分生活できる」という基盤を作っていました。
さらに、これまで着実に進めてきた貯蓄や資産形成があったからこそ、お金の不安に足元をすくわれることなく、純粋に「家族との時間」を最優先する決断ができたのです。
資産形成に関する記事は、こちらをご覧ください。
立ち止まる勇気が、次の景色を見せてくれる
一時期、「育休中のリスキリング(学び直し)」という言葉が社会的に話題になり、「睡眠すらまともにとれないのに、そんな時間があるわけない」と多くの批判が集まりました。
今回、育休を「人生を見つめ直すための時間にしたい」つまり「インプットとアウトプットが必要」と語る私は、ある意味でその批判の対象になるかもしれません。
もちろん、現実はそんなに甘くないと覚悟しています。
幼稚園に通う上の子のケア、新生児の予測不能な生活リズム。そして産後の妻の回復サポート。
この過酷な状況下で、実際にどれだけの自分の時間が確保できるかは、今の時点では全くわかりません。
今はただ、「少しでも自分の人生の軸を取り戻すための時間にしよう」という決意があるだけです。
計画通りにいかず、本を開くことすらできない日も確実にあるでしょう。
同時に、育休をただの家庭に専念する時間としてではなく、「人生を見つめ直す期間」として捉えることができる今の私は、非常に環境に恵まれているのだとも感じています。
だからこそ、私はこの貴重な4か月を無駄にはしたくないのです。
男性の育休取得は、単なる「家事育児の分担」という側面だけでなく、働き詰めのビジネスパーソンが「これからのキャリアと人生を再定義する」ための強力なきっかけになる可能性があります。
この4か月間。私は泥臭く育児に向き合いながら、自分なりのペースで理想と現実の間をもがき、自分自身の「軸」を取り戻すためのインプットと準備を進めていこうと思います。





